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渋谷のギャル文化をつくった伝説の雑誌「egg」を知ってる? 

株式会社 大洋図書/egg編集部

1995年に創刊されたファッション誌「egg(エッグ)」。日本独自の進化を遂げた"ギャル"のバイブルとして絶大な人気を誇った同誌とともに、ファッション文化の歴史を紹介する。

1995年:「egg」創刊とコギャル文化の誕生

バブル経済崩壊後の日本で、創刊当時の「egg」を盛り上げたのは、プロのモデルではなく渋谷に集まった女子高生たち。渋谷の街角で撮影されたスナップ写真の掲載企画が人気を博した。ここから生まれた読者モデルを筆頭にコギャルファッションがブームとなった。

コギャルの特徴 ・小麦色に焼けた肌 ・細眉とブルーシャドウが特徴的なメイク ・茶髪に染めたロングヘア

1995年11月号 渋谷を中心に生まれた「コギャル」に注目 株式会社 大洋図書/egg編集部

また、この時期には大きなトレンドが「egg」を通じて全国に広がっていく。そのトレンドとは、歌手の安室奈美恵の影響を受けた「アムラー」スタイルだ。「egg」は、毎号「アムラー」になるための詳細なハウツーを掲載。メイクの手順から、髪型のオーダー方法、靴紐の結び方まで、細かなテクニックを伝授していった。

アムラーの特徴: ・明るめの茶髪 ・健康的な日焼け肌 ・眉は細く長めに描き、少し下がり気味に ・センタープレスの入ったチェック柄プリーツミニスカート ・ニーハイブーツ

アムラーが一世を風靡する 株式会社 大洋図書/egg編集部

1998〜1999年 :ガングロとヤマンバの衝撃 この時期の「egg」は、真っ黒に日焼けした肌に派手なメイク、金髪の女性が紙面を埋め尽くした。「ガングロ」と呼ばれる新たなムーブメントの始まりである。誌面では黒肌を作るためのUVライトの使用方法から、立体的な盛り髪の作り方まで、それまでのファッション誌では考えられないようなテクニックが詳しく解説された。

ガングロの特徴 ・金髪 ・強めに黒く焼いた肌 ・ホワイトのアイシャドウが特徴的な濃く、派手なメイク。 ・学生服には白のルーズソックス ・厚底ブーツ

「ガングロ」にフィーチャーした誌面が話題となった 株式会社 大洋図書/egg編集部

そして1999年、ガングロはさらに進化し、より過激な「ヤマンバ」というスタイルが誕生する。「egg」はこの新しいスタイルを大々的に特集。渋谷109の人気ショップのカリスマ店員たちが着用するスタイルとして紹介され、全国に広がっていった。

ヤマンバの特徴 ・プラチナブロンドや銀髪 ・ガングロよりさらに黒い肌 ・白く大きな目の周りのアイメイク ・鼻筋や頬に過剰なハイライト ・厚底ブーツ

インパクト大の「ヤマンバ」のメイク 株式会社 大洋図書/egg編集部

また、この時期の渋谷では「パラパラ」と呼ばれるダンスが流行し、「egg」は毎号ダンスの振り付け講座を掲載。また、携帯メールで使用される「ギャル文字」も誌面で紹介され、新たなコミュニケーション文化として注目を集めた。

2000年代:ギャル文化の多様化と深化 2000年代に入ると、「egg」は新たな変化を見せる。若者のファッションの多様化が進み、それまでの肌色と相反する「白ギャル」や、フリルやリボンを多用した「姫ギャル」という新たなスタイルが誕生。新しいギャルファッションの一翼を担っていった。

白ギャルの特徴: ・陶器のような白肌メイク ・グラデーションの効いたアイシャドウ ・金髪のショートヘア ・ボディラインを強調するミニワンピース ・ヒョウ柄のアクセサリー ・キラキラにデコったケータイ

姫ギャルの特徴: ・透明感のある陶器肌 ・ピンク系のアイシャドウ ・リボンやレース使いの多いトップス ・パステルカラーのフリル付きワンピース ・ふんわりとしたチュールスカート ・巻き髪に派手なヘアメイク

姫ギャルや白ギャルなど新しいスタイルが登場 株式会社 大洋図書/egg編集部

さらに、2010年代には、ファストファッションの台頭や多様化する若者の価値観によってギャル文化は大きな転換期を迎えていく。ギャルの渋谷一点集中が解消され、雑誌「egg」は休刊。しかし、2018年に「egg」はウェブマガジンに生まれ変わる。それによりギャル文化は全国へ広まっていき、インターネットを通して新たなコミュニティも形成されていくこととなった。

「egg」休刊前の最終号。時代とともにギャルのスタイルは多様化へ クレジット:株式会社 大洋図書/egg編集部

令和時代 - 新たなギャルカルチャーの進化 近年のギャルは「令和ギャル」と呼ばれる。2020年には全国のギャルたちからの熱い要望により「egg」が復刊。新生「egg」ではSNSなどのメディアを使って自己発信するモデルたちからギャルたちの共通項を見出して“最先端情報”を切り取って発信している。

令和ギャルの特徴: ・透明感のある艶肌ファンデーション ・立体感を出すナチュラルシェーディング ・ブラウン系のカラーコンタクトレンズ ・キラキラ感のある涙袋メイク ・ぷっくりとしたツヤ感リップ ・清潔感のあるスタイル ・盛り過ぎないメイク

さらに、「ギャルマインド」という新しい価値観が生まれ、外見だけでなく、ポジティブで前向きな内面のあり方そのものを“ギャル”と捉える解釈も広がっている。同時に、ジェンダーの垣根を越えた「ジェンダーレスギャル」など、従来のギャル像にとらわれない新しい形態も登場している。

ギャルのファッションはこれからも進化を遂げていくだろう クレジット:株式会社 大洋図書/egg編集部

これまで「egg」に登場した数々のスタイルは、時代とともに進化を遂げながら、現代の日本のファッションシーンにも大きな影響を与え続けている。日本を訪れたら全国に広がるギャルマインドを感じてみよう! (2024年11月時点の情報です)

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